公開日 1998年12月16日 | 探訪日 1998年12月12日 |
河之邊 浩 |
今日は、石丸峠から松姫峠まで牛の寝通りを走ってみます。 スタート地点は例によってバス輪行終点の大菩薩登山口です。 自転車を組み立て終るといつものように舗装の裂石林道を登っていきます。 先々週に行った丹波大菩薩路のときと比べるとかなり調子良く快調に登っていけたので、 林道に入って2.7キロポストまで一気に行きました。 持参の温度計は2度を指していますが、これからが冬本番というところでしょう。 ザックから水を出して飲んでいると、 輪行袋を二つもトランクにはみ出して載せたタクシーが通過していきます。 バス輪行のさらに上を行く方法があるんですねぇ。 冬場の日の短い季節には有効な方法かもしれませんけど、なんだかなぁ。
途中4.7キロポストでまた小休止して上日川峠に到着したのは9時45分でした。 タクシー輪行組は上日川峠で組み立ててちょうど大菩薩峠方面に向けて出発しているところでした。 やはりごついMTBだったので小菅大菩薩路を下るのでしょう、きっと。 この地域はMTBのゲレンデと化していますね。 私のようなパスハンターに登山装備の山旅派は小数のようです。
私のほうは中休止のあと、 大菩薩峠へは行かずに直接石丸峠に行くことにしました。 林道が開通して石丸峠への登山道も分断されてしまったのですが、 逆にこの林道を利用して自転車で乗って行けば快適ですし時間も節約できるというものです。 上日川峠を過ぎるとじきにダートになりますが (まだ残ってたんですね)、 8.1キロポストを過ぎるとまた舗装になります。 と同時に真新しい林道への分岐地点に出ます。
分岐地点だけきれいに舗装がかかっていますが、 この林道まだ工事中でちょっと行くとすぐにダートになります。 しかし、勾配は緩く車の往来もそれなりにあるようでとても走りやすいです。 途中ダム湖を双眼鏡で観察したり写真を撮ったりしながら進んでいきます。
1号橋、2号橋を渡ってじきに登山道入口にたどり着きました。 ここで、同じバスに乗り合わせたハイカーにまた会ったのですが、 氏曰くこの林道を通じてここまでタクシーが入ってくることもあるそうです。 というより本人もそうやってくることもあるんだそうです。 このまま石丸峠を越えて私と同じ牛の寝通りを小菅まで行くそうです。 小菅からは午後3時過ぎのバスに乗るのでしょう。 お歳のわりに (失礼!) かなりのハイペースのようで。
登山道は林道が切り開かれたこともありとても急なので、担ぎモードで登りました。 でも小屋平まではあっという間で、ここからは押してもいけるようになりますが、 道が狭くて木に引っかかるのでまた担いでしまいました。 一度担いだら担ぎっぱなしのほうが楽ですからね。 じきに雪がちらちらと現れ始めますが、もう目の前には美しい尾根が見えています。
峠は風が強くて寒いので写真を撮り終ったら早々と立ち去ります。 牛の寝峠への分岐の壊れた小屋ではハイカーが数名たむろしてあーだこーだしゃべっていました。 私も混ざっていましたが、自転車で抜かすもいやなのでとりあえずは榧ノ尾山を目指して 先に出発しました。 でも途中雪があったり展望を楽しんだりのんびりペースの私を尻目に皆さんさっさと追い抜いていかれました。 確かに自分も徒歩のほうが自転車より速いかもしれません。 逆に自転車をもっていくからこそバスの時間に縛られることなくゆっくりと味わいながら駒を進めていくことができるのかもしれません。
もうすこし行くとつづら折れの連続ですが、 クラシカルなパスハンターではブレーキを握る手のほうがまいってしまいます。 ちょっと休んでいると上からがさがさと音がしますが、 ハイカーではないようです。 やはりごついMTBですね。すいすいと楽勝で下ってあっという間にいなくなってしまいました。 あのー、よかったらお茶くらいいれるんですけど。 なんですって、一度下ったら止まれない!? 失礼しました。
というわけでのんびりペースながら、木が切られて展望が開けてしまった榧ノ尾山に到着、ここで食事にしました。 さっきのハイカーの人も下っていきましたが、このペースは午後3時過ぎのパスに間に合うペースですね。
ここは風もなく、日に背を向けてお茶を沸かしているとぽかぽかと暖かになります。 とてもいい雰囲気ですね。 ここまでは雪や急なつづらが多かったのですが、 ここからは確実に楽に乗って行けるということもありゆっくりと過ぎゆく時間を楽しみました。
さぁ、身支度を整えて、ここからは快適な走りを楽しむのです。 ただ、少なくともこのページのタイトルに掲載した牛の寝の看板くらい確認しようと思っていたのですが、 いざ走り始めると本当に気がつかないものです。 この看板は徒歩で行ったときに撮ったものなのです。 私が聞いた話では自転車で出かけた方は皆さん気が付かないようです。 でも自分も自転車で走ると気が付かずにいきなりショナメまで来てしまいました。 あまりに快適な道だったので走りに熱中してしまうのでしょうね。 このショナメも昔の自分だったら暴走して気がつかなかったたことでしょう。 でもね、足を止めて眺めてみませんか。この林の風景をじっくりとね。 いろいろな景色が交互に現れるのをもっともっと楽しんでも良いのではないかと思うのです。
ショナメから大ダワまではほんのわずかの距離しかありません。 緑の字に赤の矢印の「小菅の湯」の道標がやけに目だって印象に残ってしまうのですが、 ここからはこの道標ともお別れで、進路を松姫峠へとります。 大マテイ山までの登り返しはつらいですが、 北側になるので涼しくて気分は悪くありません。 ただし成長した霜があちらこちらに散在しています。
大マテイ山近傍のピークを過ぎるとなだらかになるので、 再び乗車していきます。 途中霜で凍った土にタイヤをとられそうになったり、 倒木で大きく南側に迂回したりしながらも順調に進んでいきました。 谷側に常緑樹が現れ緑のトンネルを通るとすぐに山沢入の分岐に到着します。 ここで右に行く道よりも左に行く道のほうがはるかにはっきりとしていたので、 ちょっと不安になってしまいました。 もう下に国道139号がかすかに見えているし地形もはっきりしているのですが、 急に曇ってきて寒くなってきてということも微妙に心理に影響しているのかもしれません。 地図を広げてコンパスで確認してやっと確信がとれました。 でも家に帰ってから MTBツーリングブック を開いてみるとちゃんとここは右だと書いてあるではありませんか。 でもわざと読んでこなかったというのはあるんです。 このコースが自転車で走れるというのは fj.rec.bicycle ニュースグループで初めて知りましたし、 こういう状況になるのを却って楽しんでいるというか。 こういうことが山旅の最後にあると何か言葉には言い尽くせない充実感を感じます。
最後に広い尾根に出て松葉の落葉のじゅうたんの道を快調に飛ばしているとすぐに松姫峠に到着しましたが、 木材が大量にあって道を阻んでいます。 作業している人の話だと、なんでもここにヘリポートができるんだそうです。 なんでこんなところにというのはありますが、ダムが作られる関係ででしょうか。
まだ午後3時過ぎだというのにだいぶ暗く寒くなってきました。 今回、旅の終点は大月に決めていたので、 サドルを上げて帽子をザックにしまって舗装のハイスピードダウンヒルに備えます。 大月から松姫峠まではまだダム建設にともなう道の付け替えがなされる前に一回登っているのですが、 いざ下ってみるともっと長く感じるのが不思議です。 そして寒い寒い寒い。 しょうがないのでブレーキかけながらペダルを回したりして暖をとったりしていました。 カーブのトンネルを二つ抜けて二車線の真新しい道を下り終るともう深城です。 あとはアップダウンを繰り返しながら大月まで走っていきました。
装備 | 徒歩(参考) | 自転車 | |
---|---|---|---|
訪問日 | 1998年10月10日 | 1998年12月12日 | |
大菩薩峠登山口 | 発 | 07:52 | 08:23 |
上日川峠 | 着 | 09:20 | 09:45 |
発 | 09:32 | 09:57 | |
登山道入口 | 着 | 10:26 | 10:31 |
発 | 10:31 | 10:41 | |
石丸峠 | 着 | 11:19 | 11:22 |
発 | 11:46 | 11:26 | |
牛の寝通り分岐 | 着 | 11:54 | 11:32 |
発 | 12:00 | 11:35 | |
榧ノ尾山 | 着 | 12:46 | 12:25 |
発 | 12:47 | 13:18 | |
牛の寝 | 着 | 13:14 | レ |
発 | 13:17 | レ | |
ショナメ | 着 | 13:32 | 13:52 |
発 | 13:33 | 13:57 | |
大ダワ | 着 | 13:40 | 14:02 |
発 | 13:44 | 14:10 | |
小菅バス停 | 着 | 14:48 | ‖ |
大マテイ山 | 着 | ‖ | 14:20 |
発 | ‖ | 14:23 | |
山沢入 | 着 | ‖ | 14:52 |
発 | ‖ | 14:57 | |
松姫峠 | 着 | ‖ | 15:06 |
発 | ‖ | 15:10 | |
大月駅 | 着 | ‖ | 16:15 |
徒歩は参考です。コースタイムは各人に大きく依存します。
丹波大菩薩路に比べると道は良く乗車率ははるかに高いですが、 工程が長く上級者向けのコースに変わりありません。 登山未経験者不可。積雪期不可。 それなりの心構えと装備と経験があるかどうかをご確認の上お出かけください。
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