公開日 2008年12月30日 | 探訪日 2008年9月14日 |
更新日 2009年1月31日 | 河之邊 浩 |
幸いにも現在地点は持参の地形図と照らし合わせて確実に把握できている。道は甲子山に向かう尾根からはやや東側、すなわち進行方向左側に外れかかってきている。自転車を置いて空身で尾根に登ってみると地形図には描かれていないものの甲子山に向かう踏跡が続いているようであった。しかし目的とする方角はもちろんそちらではない。そうするとやはりこの不明瞭なところを行くしかないのか。やや不安になる。
それでも構わずとにかく進んで行こう。地形図の通り進行方向を山肌が塞ぐ感じになる。前方の黒っぽい部分は地面が落ちて崩壊している。しかも奥を見ると木が横向きに生えている。そうか、このあたりがアドバイスを受けた危険な箇所なんだと思った。ということは逆説的にこのルートで正解ということなのであろう。自転車を手に持って、慎重に通過していく。
そして次の写真の場所に出た。まだ草は多いもののこの場所で決定的に正しいということが確信できた。無事に突破できたのだ。それはなぜか?
右側にちらりと見える虎ロープ、この1本の虎ロープがどんなに心強いことか。それに加えてまた前方に続く明瞭な道が見え出してきたのである。進行方向も地形図の通りに、南々東へと曲がってきている。
そしてすっかり良い道が戻ってきた。道は完全に平坦となり、自転車に乗車できるようにもなる。実に快適である。
調子に乗って進んで行くと、折れて幹だけになった木が行く手を塞ぐ。もうすでにだいぶ進んできたようで、甲子山に続く登山道との合流点までまもなくのはずだ。
時刻は15時48分、甲子山からの登山道と合流した。甲子第2ピークからは39分かかった。甲子峠からは正味59分である。山地図には甲子峠からここまで40分のコースタイムが記載されているので、たまに乗車できる大きな荷物と写真撮影のロスを除いたとしても、ペースは鈍い。
甲子山分岐点を振り返って撮影する。右側の平坦な道からやってきた。左側の道は甲子山からの下山道であるが、狙ったわけでもないのに数名の登山者のパーティがちょうど下山してきたところだ。
結局、登山道区間では昼食休憩した甲子第2ピークとこの甲子山分岐点の2箇所以外では誰とも会わなかった。
もう少し下って傾いた指導票も写し込んでおこう。指導票には分岐点最初の写真の「甲子山分岐点」とは直角に「甲子山」「三本槍岳」方面とある。白い矢印の向きが左側の登り坂であることを強調するかのように指導票が傾いているのが面白い。
15時53分、甲子山分岐点より下り始める。
しばらくすると左手の路肩にきれいな碑があった。票柱には「標記」と記入されている。すっかり眠くなり萎んでしまった睡蓮の花が生けられているところから考えると小動物のお墓であろうか、それとももっと何か意味があるものなのかどうかまではよく分からない。
道が複線になって抉れている部分もある。この先はつづら折れになっているが、地形図が示す猿ヶ鼻から先の本格的なつづら折れはまだのはずだ。
道幅が少し広くなってきて乗車していてもあまり危険を感じない。サドルを下げるのも忘れてしまうほどに緩い下り勾配である。
しかし倒木で下車しなくてはならなくなるような場面もある。倒木の朽ち具合いと言い、表面の苔の度合いと言いかなり年数が経っていそうだ。
直線状の尾根道ではあるものの所々緩いカーブもある。見通せないカーブの先にいきなり倒木があったり岩がおかしな向きに埋まっていたりするので、あまりスピードは出さないほうが良い。今回は26×1.0という細いタイヤということもあり、ゆっくり下っていった。景色も堪能したかったし。
16時19分、猿ヶ鼻に到着した。進行右手の南側にこの指導票がある。展望が望めるのではないかと期待していたのだが、写真のように木に囲まれて外の景色はまったく分からない。
テールランプの取付ねじが緩んでいるようなので点検する。そろそろ暗くなり始めていて、今日はランプが役に立ってしまいそうだ。16時27分に出発する。
猿ヶ鼻を過ぎると連続したつづら折れで急降下することになる。まずは右斜面を左に巻いて行く。水平には気を遣って撮影しているつもりだが、ほとんどの木が斜面と直角に斜めに生えているため、全体を斜めに撮ったように見えてしまう。原生林ならではのところである。
お次は左斜面だ。大きな石が次第に多くなってきたので乗車は諦めて押して行く。もし無理して乗車してパンクでもしたら明るいうちに登山道国道を脱出できなくなってしまうからだ。
つづら折れを左に巻き始めたら前方の地面が抜けていて、すわっ、これはまずいと思った。でも甲子山分岐点で遭遇したパーティも無事に下山しているようだし問題ないはずだ。巻き終わったところで写真の桟橋が見えて納得した。
単に2本の倒木を渡しただけのようなので、表面は滑り易いだろう。しかも谷側の木は体重をかけると折れそうな感じがする。自転車を谷側にして右手で持ち、麓寄りに慎重に進んで行こう。
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